2011年12月18日日曜日

鼠よけの猫 歌川国芳


鼠よけの猫 歌川国芳 1830年頃

"此圖ハ猫の絵に妙を得し一勇齋の寫真(しやううつし)の圖にして これを家内に張おく時にハ鼠もこれをミれバおのづとおそれをなし次第にすくなくなりて出る事なし たとへ出るともいたづらをけつしてせず 誠に妙なる圖なり 福川堂 記"

※郡山市立美術館での国芳展を前後期の二度見に行くことができた。前期にこの絵があり、うれしくて詞書を会場でメモした。帰ってググってみれば人気の絵だから、アチコチに文字おこしをしている人がいる。まあ好みの表記法があるので記念に書きつけておく。




誠忠義士傳 間瀬宙太夫正明 歌川国芳


No. 44 Mase Chudayu Masaaki / Seichu gishi den (Biographies of Loyal and Righteous Samurai) / Kuniyoshi

誠忠義士傳 間瀬宙太夫正明 歌川国芳 1847年

“正明ハ三ツ橋浄定と變名して格子町に借家なし医師をなす 子息孫九郎ハ小市郎と改名し西國より鎮守再興勧化の事 領主へねがひに出たる者の由にて義徒三四人浄定方へ同居なし居たり 十二月十四日討入におよび宙太夫行年六十二歳といへども壮健なる事 血気隆(さかん)なる者に少も劣ず二番手に列して玄関より矢声を係て切入たり 敵方森伴左エ門と渡り合双方勇猛を争ひ勇を震つて血戦す 原三村是を見て森の太刀先するどけれバ老人間瀬を討せじと横合より討てかゝれバ勇気燦然として宙太夫ハ少もひるまず 爰構ハずと奥へ/\ と呼ハりて猛虎の荒たるごとく鍔元より火花をちらし戦ひを譲らず一ト駻(はね)はねて討込太刀狙ひ違ハず森の眉間鉢巻係て切こめバ刀ハ国俊手練の達人眞二ツにぞ切割たり 森ハ其儘叫もあへず血煙立て死たりける宙太夫ハ手始よしと血刀振て奥を目掛馳入バ小守源次と名乗かけ太刀真向に立塞り戸口を入れじと支たり 面倒なりと打あハせ上段下段と切結ぶ 小守も聞ゆる強勇なれども敵しがたくやのがれんと跡へひかんとする所を横に拂へバ受損じ右のあばらの下より上へ二ツに切て捨さりしハ実に目覚しき老人の働きなりと感じけり 応需 一筆葊 誌”